【初心者、絶対見て!】ダサいと言われない「設備屋の腰道具」入門。最初に買うべき“三種の神器”と育て方の全知識

現場で働く先輩たちの腰には、使い込まれた風格のある腰道具がずらりと並んでいる。それを見て、「自分もいつか、あんな風にカッコいい腰道具を揃えたい」と憧れの気持ちを抱くと同時に、「でも、何から買えばいいのかさっぱり分からない」「高価な道具をいきなり買っても、使いこなせるだろうか」と、不安に感じているのではないでしょうか。


ベテランの職人たちの間で、昔から「腰道具を見れば、その職人の腕前が大体わかる」とよく言われます。これは、単に高価な道具をたくさん持っているかどうかを見ているわけではありません。その人がどんな仕事を得意とし、どんな手順で作業を進めるのか、そして道具をどれだけ大切に扱っているのか。腰道具の選び方や配置、手入れの具合に、その職人の仕事への向き合い方そのものが表れるからです。


つまり、腰道具は単なる作業の道具ではなく、あなたの技術や経験を映し出す「相棒」であり、仕事の質やスピード、安全性を左右する「武器」でもあるのです。この記事は、そんな腰道具選びに悩むあなたのために書かれました。道具選びの迷いをなくし、あなたの成長に合わせて腰道具を「進化」させていく楽しみと、その具体的な方法を、ここから一つひとつ丁寧に解説していきます。




【STEP1:入門編】まずはこれを揃えろ!新人設備屋の“三種の神器”

設備屋としてのキャリアをスタートさせたばかりのあなたが、いきなりベテラン職人と同じ腰道具を揃える必要は全くありません。むしろ、最初から道具が多すぎると、どれを使えばいいか迷ってしまい、かえって作業の効率が落ちてしまうこともあります。大切なのは「ミニマムスタート」。まずは、どんな現場でも最低限これだけあれば仕事になる、という基本セットから揃えていきましょう。



掴む・切る系の道具


これらは設備屋の仕事で最も使用頻度が高いグループです。

まずは、配線を切ったり、曲げたり、掴んだりするのに使う「ペンチ」。そして、より細い線を切るのに特化した「ニッパー」。最後に、パイプやナットなど、様々な大きさのものを掴むことができる「ウォーターポンププライヤー」。この3つがあれば、多くの基本的な作業に対応できます。



回す系の道具


ネジやボルトを締めたり緩めたりする作業も非常に多いです。

プラスとマイナスの両方がセットになった「ドライバーセット」は必須です。サイズも大小いくつか揃っているものを選ぶと良いでしょう。そして、様々なサイズのボルトやナットに対応できる「モンキーレンチ」。これ一つで対応範囲がぐっと広がります。



測る・記す系の道具


正確な作業の基本は、正確な計測とマーキングから始まります。

長さを測るための「コンベックス(メジャー)」は、5.5m程度の長さがあれば大抵の場面で困りません。そして、地面に対してまっすぐ(垂直)か、水平かを確かめるための「水平器」。ポケットに入るような小型のもので十分です。最後に、切断する場所や穴を開ける場所に印をつけるための「マーカー(油性ペン)」も忘れずに用意しましょう。


これらの道具は、最初から高価な海外ブランド品を選ぶ必要はありません。まずは、お近くのホームセンターで手に入る標準的なもので大丈夫です。実際に手に取ってみて、自分の手にしっくりくるか、グリップが握りやすいか、といった感覚を大切にして選んでみてください。




【STEP2:応用編】仕事の幅を広げる!専門分野別・次の一手

基本の道具セットを使いこなし、現場の流れにも慣れてきたら、次のステップに進むタイミングです。あなたの担当する仕事の内容や、これから伸ばしていきたい専門分野に合わせて、少しずつ道具を買い足していきましょう。このステップから、あなたの腰道具は「あなただけのオリジナルセット」へと進化していきます。



担当する工事に合わせた専門ツール


設備工事と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。あなたの仕事に合わせて、以下のような専門ツールを加えていくと、作業の効率と質が格段に向上します。


例えば、水道管やガス管といった配管工事を主に行うのであれば、太いパイプを強力に掴んで回すための「パイプレンチ」や、塩ビ管をきれいに切断するための「塩ビカッター」があると非常に便利です。


空調設備の取り付けに携わる機会が多いなら、冷媒管を接続する際に規定の力で締め付けるための「トルクレンチ」や、配管の先端をラッパ状に加工する「フレアツール」は必須アイテムとなります。


また、電気工事が絡む作業をするのであれば、電線の被覆を剥がすための「ワイヤーストリッパー」や、配線同士を接続する端子を圧着するための「圧着工具」があると、安全かつ確実な作業ができます。



大切なのは「なぜ買うか」という目的意識


この段階で一番大切なのは、「先輩が持っているから、なんとなく買う」という選び方をしないことです。「あの作業の時、もっと楽に、もっと早くできる道具はないだろうか」と考え、自分がいま直面している課題を解決するために、どんな道具が必要なのかを意識すること。そうやって目的を持って選んだ道具は、あなたの技術を一段階引き上げてくれる、本当の意味での「武器」となります。道具のカタログを眺めたり、先輩に「なぜその道具を使っているんですか?」と質問したりすることも、素晴らしい勉強の一つです。




【本題】デキる職人はココが違う!腰道具の戦略的カスタマイズ術


必要な道具が一通り揃ったら、次はその道具たちを収納し、機能的に使うための「土台」となる部分をカスタマイズしていきましょう。デキる職人は、道具そのものだけでなく、それらをどう身につけるか、という点にも徹底的にこだわります。作業効率を劇的に上げ、安全性を確保するための戦略的なカスタマイズ術を紹介します。



あなたの相棒となる腰袋・安全帯の選び方


腰道具のベースとなるのが、腰袋やツールホルダーを取り付けるためのベルト、つまり安全帯です。素材は、使い込むほど味が出る革製や、軽くて丈夫なナイロン製などが主流です。長時間の作業でも腰への負担が少ない、幅が広くてクッション性のあるものを選ぶのがおすすめです。


腰袋は、釘やビスなどの小物入れとして使うだけでなく、ドライバーやペンチといった道具を差し込むホルダーの役割も果たします。自分の作業スタイルをよく考えて、ポケットの数や大きさが最適なものを選びましょう。あまりに大きすぎると動きにくくなりますし、小さすぎると必要な道具が入りきりません。最初はシンプルなものから始め、必要に応じてホルダーを追加していくのが賢い方法です。



“秒”を削るための配置ルール


一流の職人の動きに無駄がないのは、道具の配置が最適化されているからです。彼らは、どこに何があるかをいちいち目で確認しません。体が必要な道具の位置を覚えているのです。これを実現するためには、配置に自分なりのルールを設けることが重要です。


基本のセオリーは、「使用頻度の高い道具を、利き手側の取りやすい位置に置く」ことです。例えば右利きの人なら、ペンチやドライバーを右腰の前方に配置します。逆に、ハンマーのように重い道具は、体の中心に近い背中側に置くと、バランスが取りやすくなります。何度も試行錯誤を繰り返し、「探す時間」を限りなくゼロに近づける。この日々の小さな工夫が、1日の作業量で考えると大きな差になるのです。



道具を長持ちさせるメンテナンスの重要性


良い道具を長く使い続けるためには、日々のメンテナンスが欠かせません。作業が終わったら、汚れた道具を布で拭き、泥や水分を取り除くだけでも、錆びや劣化を防ぐことができます。ペンチやニッパーなどの可動部分には、定期的に潤滑油を差してあげることで、スムーズな動きを保つことができます。「道具を大切にする心」は、丁寧な仕事にも繋がります。手入れの行き届いた道具は、あなたの仕事に対する誠実さの証となるでしょう。




モデルケース:会社選びで「腰道具」事情も変わる?


職人の世界では、「道具は自分で揃えるのが当たり前」という風潮が根強くあります。確かに、自分の手に馴染んだこだわりの道具を持つことは大切ですが、キャリアを始めたばかりの新人にとっては、初期投資の負担が大きいと感じることもあるでしょう。実は、こうした個人の負担を少しでも軽くしようと、サポート制度を設けている企業も増えてきています。



個人の負担を軽減する企業の存在


例えば、社員の成長を積極的に支援する優良企業の中には、新入社員に対して、まず仕事に必要となる基本的な工具一式を会社から貸与、あるいは支給してくれるケースがあります。これにより、新人は金銭的な心配をすることなく、仕事に集中して技術を覚えることができます。何から揃えればいいか分からないという最初のハードルを、会社が取り除いてくれるのです。



具体的な支援制度の例


さらに進んだサポートとして、「工具購入補助制度」を設けている会社もあります。これは、高価な電動工具や専門的な測定器などを購入する際に、その費用の一部を会社が負担してくれるというものです。社員が「もっと良い道具を使って、仕事の質を上げたい」と考えたとき、その意欲を会社が後押ししてくれる、非常に心強い制度です.


また、特定の資格を取得した際に、その資格を活かすために必要となる専用工具を会社が支給・貸与してくれる場合もあります。これは、社員のスキルアップが会社の技術力向上に直結するという考え方に基づいています。


こうした制度は、社員を大切にし、その成長に投資しようという企業の姿勢の表れです。求人情報を見る際には、給与や休日だけでなく、福利厚生の一環として、こうした道具に関するサポートがあるかどうかもチェックしてみると、その会社が社員をどう考えているかを知るための一つのヒントになります。


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まとめ:腰道具は、あなたの成長を映す鏡である


ここまで、設備屋の腰道具について、基本的な選び方から、こだわりのカスタマイズ術までを解説してきました。腰道具は、単に作業を便利にするためのアイテムではありません。それは、あなたの知識や経験と共に少しずつ内容が変化し、進化していく、まさに「相棒」と呼ぶべき存在なのです。


最初は先輩の真似から始まった腰道具も、経験を積むうちに「自分にはこの方が使いやすい」「この作業には、あの道具が欠かせない」といった、あなただけのこだわりが生まれてきます。その一つひとつの道具の選択や配置に、あなたが乗り越えてきた現場の記憶と、培ってきた技術が刻み込まれていきます。そう、腰道具は、あなたの成長そのものを映し出す鏡なのです。


焦る必要はありません。最初から完璧な腰道具を揃えようとせず、自分の成長のペースに合わせて、一つひとつ、じっくりと育てていってください。道具を大切に手入れし、どうすればもっと効率的に使えるかを考える。そのプロセス自体が、あなたを間違いなく一人前の、そして一流の設備屋へと成長させてくれるはずです。


もし具体的な仕事内容や会社の雰囲気について、もう少し詳しく知りたいと感じたら、気軽に問い合わせてみることをお勧めします。


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